代表理事の挨拶

代表理事 秋山 智 広島国際大学


 このたび2021年6月13日の第1回理事会におきまして、一般社団法人日本難病看護学会代表理事に就任いたしました。

 日本難病看護学会は、難病看護を中心とするケア、ケアシステム、福祉の研究を推進し、国民の健康な生活の確保に貢献することを目的としています。この目的のもとに代表として最善を尽くして活動してゆく所存でございますので、学会員の皆様のご指導とご協力を心よりお願い申し上げます。

 本学会は昭和54年(1979年)に「難病看護研究会」として発足し、それ以来の長い歴史を持っています。この研究会は平成7年(1995年)に「日本難病看護学会」として学会組織に改変しました。そして日本学術会議にも登録を認められ、今日まで学術団体として研究活動を推進しているところでございます。

 任期中の抱負としては、初代代表理事の川村佐和子先生の難病患者・家族に対する思いを基盤として、そこから前代表理事の本田彰子先生の時代まで脈々と続いてきた各種事業を継承しながら、引き続き研究活動と学問の発展に寄与したいと考えております。現在コロナ禍のまっただ中ではございますが、その現状に合わせて変わらぬ部分と変えるべき部分の両面から、臨機応変に対応してゆこうと考えております。

 本学会の最大の特徴は、研究会発足当時からの伝統を継承して「患者と共に歩む」学会であると認識しております。毎年開催される学術集会には、難病の当事者・家族、あるいは患者会代表者などが何らかの形で参加することも多く、医療者や研究者と共に難病ケアの質やQOL向上を目指して共に歩んできております。今後もこの伝統を守り、さらに発展させるべく、専門職者のみならず患者・家族の皆様と共に活動してきたいと思っております。

 次に本学会の特記すべき役割として、学会認定「難病看護師」の育成が挙げられます。この制度は、難病看護の質の向上に主体的に取り組める看護師の育成を通して難病患者の医療およびケアの改善を図り、国民の健康と福祉に貢献することを目的としています。育成は平成25年(2013年)度より開始され、現在までに全国の多くの難病看護師を育成・認定し、各地で活躍していただいております。今後もより一層の拡充を図ってゆく所存です。なお、これまで、秋田・山梨・福井・奈良・島根・愛媛の6県よりの申請の実績がございません。今後は特にこれらの地域での充足が望まれます。

 ご存じのように平成27年(2015年)に「難病患者に関する医療等の法律」が施行されて以来、難病患者に対する医療提供体制をはじめとする支援体制の構築が進んでいます。本学会は難病看護学会という名称ではございますが、看護師や保健師のみならず、難病患者支援の最前線で働く医師、ソーシャルワーカー、リハビリテーション療法士、難病医療コーディネーター、ケアマネージャー、介護従事者、そして患者当事者や家族なども含めて幅広い会員の皆様を有しています。今後もその特徴を最大限生かし、学術団体としてさらなる発展に尽力してゆく所存でございます。

 このことに関連して、最後に今後の学術学会のありようとして、難病に関する多職種連携のさらなる充実について触れたいと思います。本学会以外にも、上記のように多職種が所属する難病関連の学会・研究会として、「日本難病医療ネットワーク学会」、「神経難病リハビリテーション研究会」があり、それぞれが特徴ある活動をしています。また、それぞれの学術集会にて共同企画が催された実績もあります。今後、これら3団体の会員相互が、難病患者支援の課題や方向性を共有することで多職種連携をさらに成熟させ、難病患者にとってこれまで以上に融合された支援を構築することを目指して、3団体の会員が交流する機会を企画・創出していく予定です。

 また、本学会以外に難病に関連する看護系学会としては「日本遺伝看護学会」があります。言うまでもなく難病と遺伝はかなりの部分で問題の所在が重複しております。これまで同様、そちらの学会とも協力関係を継続してゆく予定です。

 以上、代表理事就任にあたり、現状と今後の抱負を述べさせていただきました。今しばらくはコロナ禍によりなかなか実際に参集するのが困難な状況で何かと不自由な面も多々ございますが、会員の皆様には今後ともご指導とご協力を心よりお願い申し上げます。