第14回日本難病看護学会学術集会

第14回日本難病看護学会学術集会 難病看護奨励賞のお知らせ


難病看護奨励賞については、
群馬大学医学部保健学科の佐藤由美教授に選考委員長をお引受けいただき、
3名の方々が受賞されました。おめでとうございました。
(学会長 牛久保美津子)


受賞者:岡田美砂 様、田中裕代 様、原田小夜 様

第14回日本難病看護学会学術集会より難病看護奨励賞に関する報告
(選考委員長 佐藤由美(群馬大学医学部保健学科 教授))

1.選考委員:
小森哲夫(埼玉医科大学 神経内科学 准教授・医師)
野川道子(北海道医療大学 教授)
谷垣静子(岡山大学 教授)
◎佐藤由美(群馬大学 教授)
(◎は選考委員長)

2.選考経過:

今回の学術集会において、11名の専任査読者による査読後に採択された演題数は、研究報告が52題、実践活動報告が14題の、計66題であった。

1)第1段階:各査読者に、抄録のまとめ方、着眼点、取り組みへの努力や成果等の観点により優秀演題を推薦していただいた。その結果、6題が選出されたが、抄録が規定にあっていない1題を除外して、研究報告1題、実践報告4題の、計5題が選ばれた。

2)第2段階:上記4人の選考委員が、5題について、選考基準に従って評価し、得点が高い上位3題を選定しました。その選考基準は、<取り組みの意義>、<着眼のユニークさ>、<取り組みの熱意>、<取り組みの継続性や蓄積性>、そして<取り組みの発展可能性>、の5点で、各々について、4段階で評価した。
なお、公正を期するために、ここまでの審査は全て発表者名を伏せて行った。

3)最終段階:3題について、発表本番での発表時間の遵守など、発表の様子を確認した。そして、最終的に、3題に「難病看護奨励賞」を授与することに決定した。

3.講評:


受賞者 岡田美砂 様(群馬県難病相談支援センター)
演題名「意思伝達手段獲得支援事業におけるユニークな看護実践」

難病相談支援センターで、意思伝達装置の貸出事業について、個別性を重視して看護職の専任サポーターが家庭に出向いて実施しているという報告。一事例の詳細な支援経過から、対象者の状態変化に即応して意思伝達手段を変えていく様子や、その過程で他職種や看護職間と連携・協働している様子がよくわかり、看護の役割が明らかにされている。
神経・筋疾患における意思伝達支援の看護方法を探究する意義ある報告であり、長期にわたる頻回な支援からも取り組みの熱意を充分に感じられる。このような取り組みは他の難病相談支援センターでの活動の参考となり、今後の発展可能性も大いに期待される。


受賞者 田中裕代 様(東京都立神経病院)
演題名:「神経・筋難病疾患患者のコミュニケーションカルテ」

神経筋難病疾患患者のコミュニケーション障害の状況に即した看護の質を保証することをめざし、それまでの病院内で使用していた看護データベースを改善して、コミュニケーション障害に関する統一した記載ツールを作成するための研究に取り組んだもの。入院中の患者様で同意が得られた方に対して質問紙と聞き取り調査を行い、得られた結果からコミュニケーションカルテを作成し、研究メンバーで試行し評価している。
日々の実践の中で、「看護データベースのコミュニケーション障害に関する記載内容の不統一から看護の提供にばらつきがある」ということを看護上の課題として認識し、スタッフ一丸となって取り組んだものであり、研究の意義も取り組みの意欲も充分に感じられる。今後、コミュニケーションカルテの有効性を検討する評価指標を考えるなどして、実用性の高いツール開発を期待する。


受賞者 原田小夜 様(滋賀県草津保健所)
演題名「保健所が取り組むホームヘルパーへの吸引研修」

保健所において、平成16年度からホームヘルパーに対する吸引研修を実施しており、平成18年度には研修マニュアルの作成、18、19年度には手技の評価を行い、その結果に基づいて研修体制を検討しているという実践報告。研修を繰り返し受講することで手技は修得できるものの慣れることによって危険性の認識が低くなるなど、継続的な研修の中で受講者のニーズを的確に捉えている。また、手技評価はケアの一環として訪問場面で実施されることによって、家族支援の役割も担っている。
たんの吸引がヘルパーに認められるようになって以来、ヘルパーによる吸引技術の質向上は全国的な課題となっている。この課題に対して長年にわたり研修を評価しながら実施してきており、取り組みの意義と熱意が充分に感じられる。今後も、研修方法や手技評価の方法などを発信し、全国の同様の取り組みと交流することにより、さらに発展を期待する。


以上、今後のますますのご活躍をご期待申し上げます。

第14回日本難病看護学会学術集会

メインテーマ
「~難病のトータルケアの発展をめざす~」


第14回の日本難病看護学会は、いろいろな方々のご支援を賜りながら、
難病療養者や家族の支援に携わる会員の皆様と有意義な学術交流の場を
群馬県前橋市にて提供できるよう、目下、準備に取り組んでいます。
今期のメインテーマは「難病のトータルケアの発展をめざす」と題して、
年齢枠、病状進行の初期からターミナルケア、地域を越えて、
難病支援者各自が、多職種連携をはかり、
全人的なケア提供の発展をめざすことを意識していただけたらと考えています。
今回は、研究報告に加え、実践活動の交流も試みます。
実践や教育の現場では、療養者のニーズにこたえようと、
いろいろ創造し、活動を展開しておられることと思います。
こういった活動は、研究報告という形では
なかなかまとめにくい内容であるがために、
学会ではなかなか公表されにくい点があったと思います。
今回は、先駆的な実践に対する取り組みやケアのアイデアや工夫、あるいは
ユニークな実践は、実践活動交流という形でご発表をいただき、
参加者との交流をはかり、さらなるケアの創造を相互共有できたらと思っています。
研究報告ならびに実践活動の演題申し込みを多数お待ちしております。
また、優秀な発表は表彰させていただく予定ですので、奮ってご応募ください。
ご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。

会長:
牛久保美津子(群馬大学)

会期:
平成21年8月28日(金)・29日(土)
会場:
前橋テルサ

371-0022 群馬県前橋市千代田町2丁目5番1号

主催:
日本難病看護学会

後援:

社団法人群馬県看護協会
群馬県訪問看護ステーション連絡協議会
群馬県難病団体連絡協議会
日本ALS協会群馬県支部
群馬県医師会
群馬県

プログラム:
-8月28日(金)- 8:30受付開始

会長講演 9:10~9:50


【神経難病療養者に対するトータルケアの創造と発展】
牛久保美津子(群馬大学)

教育講演 10:00~11:15

【看護ケアのための事例研究と質的研究】
萱間真美(聖路加看護大学)


スペシャルミニレクチュア 11:30~12:00

【ALS療養者になって-看護師へのメッセージ-】
牛久保結紀(元看護師)


ランチョンセミナー(共催:バイエル薬品株式会社) 12:15~13:15


【よくわかる多発性硬化症-病態と治療-】
清水優子(東京女子医科大学)
【外来における自己注射指導の実際】
望月幸子、赤星京子、中別府多美得(東京女子医科大学病院)


ランチョンミニシンポジウム 12:15~13:15


(独立行政法人福祉医療機構助成事業)
【「たんの吸引問題」における看護の役割】
橋本操、重信好恵、原田小夜


研究発表(口演) 13:30~15:30


研究発表(示説)・実践活動交流セッション(示説) 13:30~15:30


公開セミナー 16:00~17:30


①難病看護と遺伝-看護職として出来ること-
(共催:日本遺伝看護学会卒後教育委員会公開学習会)
コーディネーター:秋山智(広島国際大学)
話題提供:武藤香織(東京大学医科学研究所)・柊中智恵子(熊本大学)

②小児難病の在宅ケア
コーディネーター:金泉志保美(群馬大学)・吉野浩之(群馬大学)

③神経難病療養者のこころのケアとして「聴く」ことを考える
コーディネーター:原三紀子、小長谷百絵、竹内千鶴子(東京女子医科大学)

④神経難病療養者への日常ケアお悩み討論会:腹部膨満感への対応
(独立行政法人福祉医療機構助成事業)
コーディネーター:松田千春、板垣ゆみ、大竹しのぶ、中山優季
(東京都神経科学総合研究所)
大原昭江(世田谷区社会福祉事業団訪問看護ステーション芦花)


医療福祉機器展示 9:00~17:30


書籍販売



-8月29日(土)- 8:30受付開始


研究発表(口演) 9:10~10:30


実践活動交流セッション(示説) 9:10~10:30


特別指定演題 9:10~10:10


【診断早期からターミナル期までの支援】
(共催:厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業「特定疾患患者の生活の質(QOL)の向上に関する研究」班)

●診断早期からの療養支援と地域を育む保健活動
高奥幸枝(京都府丹後保健所)
●ターミナル期における在宅療養環境整備と保健師の支援
岡戸有子(東京都多摩立川保健所)


特別講演 10:45~12:00

【ALS吸引問題のその後と最新の訪問看護事業の支援策】
川村佐和子(聖隷クリストファー大学大学院)


総会・表彰式 12:15~13:15


会長推薦企画 13:30~13:45

【ザ・スライドショー ”難病とともに生きる人々”】
Presented by 群馬県難病相談支援センター
川尻洋美、金古さつき、岡田美砂、岡本幸市



スキルアップセミナー 13:30~16:30


【難病療養者の栄養とQOL】
伊東七奈子、高坂陽子(前橋赤十字病院 NST)


市民公開シンポジウム 13:45~16:30

【地域で取り組む難病療養者に寄り添うこころのケア】
(文部科学省平成21年度科学研究費補助金(研究成果公開促進費)事業)

●全国・県内の難病療養者の動向と心のケアの課題
割田直美(群馬県健康福祉部保健予防課)

●多くの人に支えられて
村田波廣(日本ALS協会群馬県支部副支部長)

●主人の介護を始めて39年
井上美智子(療養者家族)

●兄弟で難病の子をもつ両親とともに歩んで
志村照美(群馬県看護協会訪問看護ステーション富岡)

コメンテーター 牛込三和子(群馬パース大学・学会代表理事)


医療福祉機器展示 9:00~16:30


書籍販売

一般演題募集:
平成21年4月1日(水)~5月16日(土)(必着)


演題発表者・共同研究者は日本難病看護学会の学会員に限ります。未加入の方は申し込みの前に入会手続きをお取り下さい。


参加申し込み:
平成21年4月15日(水)~7月17日(金)

【参加費】

《事前参加登録》
学会員 : 6,000円
非会員 : 7,000円
療養者・家族・学生 : 3,000円

《当日受付》
学会員 : 7,000円
非会員 : 8,000円
療養者・家族・学生 : 3,000円

【事前参加登録方法】
郵便振替用紙の通信欄に必要事項をご記入のうえ、参加費を下記の口座へお振り込みください。振替用紙の記載事項をもって事前参加登録の受付をさせていただきますので、お間違いのないようにご記入ください。

(郵便振替口座)
(加入者名)

(必要事項:振替用紙にご記入ください)
●ご氏名、ご住所、電話番号、学会員は会員番号
●「学会員」「非会員」「療養者」「家族」「学生」の別
●職種「看護職」「福祉職」「教育職」「その他」
●公開セミナーの参加予定テーマ番号
●スキルアップセミナー参加希望の方は「スキルアップセミナー申込」とご記入ください(学会員はスキルアップセミナー無料です)


プログラム抄録集は、学会員には、8月上旬に日本難病看護学会誌として送付します。学会員以外の方は、上記締切日までに事前参加登録された方に限り、8月上旬にお送りします。


当日受付:
当日直接会場へお越しください。会場にて参加手続きを行います。
当日受付は、事前参加登録と参加費が異なります。